ペインサイエンス理論

最先端のペインサイエンス理論

痛みとは?

-国際疼痛学会による定義-

「実際のもしくは潜在的な組織損傷に関連する、あるいはそれに似た、不快な感覚や情動を伴う体験」

"An unpleasant sensory and emotional experience associated with, or resembling that associated with, actual or potential tissue damage."

実際に損傷(怪我など)している、もしくは潜在的な損傷があるかもしれない状態による痛み、はイメージしやすいかと思います。

しかし、ここで抽象的になるのが、それに「似たような不快な体験」という点です。

つまり、組織の損傷が起こっていなくても痛みは起こるという視点です。

これは、心理的/社会的要素が痛みを生み出す可能性を示唆しています。

とても大切な視点なので覚えておいてください。

ここでのまとめ:

「痛みは身体の問題だけで生じるものとは限らない」

バイオサイコソーシャル

この定義と合わせて、大切な要旨もいくつか発表しています。

その一つに、痛みはバイオ・サイコ・ソーシャルが絡み合った複雑な体験というものがあります。

簡単に言えば、

バイオ=身体の問題

サイコ=心理的ストレス

ソーシャル=社会的ストレス

です。

身体だけではなく、心理的ストレス、家族との関係性、会社での対人関係などの全てが、痛みという体験に寄与しているということです。

ここでのまとめ:

「心理的ストレスだけでも痛みを生み出す可能性がある」

侵害受容=痛みではない。

血流

侵害受容と痛みは異なる現象と言われています。

簡単に言えば、侵害受容とは、危険が迫っている可能性がある、ということを脳に伝えるための内外からの入力信号/インプットです。

しかし、ここまでの話から、痛みというのはそう単純なものではないということが分かります。

パン職人のお話があります。

ある日、パン職人が、誤って指を切断してしまいました。しばらくして傷は治癒して痛みもなくなっていました。しかし、たまになくなった指に痛みを感じる時がありました。なぜだろうか?と不思議に思っていたところその原因に気がつきました。ある曜日だけ、そのパン職人の家の前にパンを売る車が停まっていたのです。そのときパンの香ばしい匂いが部屋から感じられ、無意識的に痛みの記憶と結びつけて痛みを感じていたのです。そしてパン職人はその時だけ鼻に栓をするようになったところ、痛みがなくなってしまったのです。

ここでのまとめ:
「過去の記憶からでも痛みは起こりうる。侵害受容と痛みは異なる」

痛みは主観的な現象

こういった科学的な視点から、痛みを研究することをペインサイエンスと言います。

ここまでで分かったことは、

組織損傷していなくても、治癒していても、心理的ストレスや過去の記憶から痛みが生み出される可能性がある。

ということです。

そして、痛みは個人的で主観的な体験です。

つまり、客観的なデータとして表すことは出来ないのです。

痛みは主観的な現象なのです。

痛みが増えるか、減るかを、外の人間が予測し、それを当てることは難しいor無理なのです。

痛みは、侵害受容入力、過去の記憶やトラウマ、今の家庭環境や職場環境など内外からの入力が複雑に絡み合って、アウトプットとして現れる個人的で主観的な体験なのです。

ここでのまとめ:
「痛みは主観的なもの。そして脳へのインプットではなく、脳からのアウトプット」

相互作用的に進める

DNMアプローチ

痛みは主観だからこそ、セラピストが客観的という名において、一方的に決めつけるのは間違っているのです。

クライアントの今の身体の感覚を聞いて、相互作用的に進めていく方法こそが、痛みは主観的な体験であるというペインサイエンスに基づく、ハンズオン/徒手なのです。

どんな時に辛くなるのか?どんな時は気にならないのか、どんな時は痛みが増えて、どんな時には痛みが減るのか?

ここの部位は押されるとどう感じるのか?この方向に動かすと楽になるのか?

こういったことを聞きながら、交流的・相互作用的に進めていくことがペインサイエンスに基づいた進め方となります。

ここでのまとめ:

「あなたのその時々の感覚を道標に、ハンズオンを進めていく必要がある」

痛みを治せるのは
あなたの神経系だけ。

シナプス

あなたの脳には鎮痛効果のある神経伝達物質を生み出せる力があります。

つまり、痛みを治せるのは、あなた自身の神経系の自己修正力だけなのです。

つまり、私にはあなたを治すことはできません。

あなたを治せるのはあなた自身の脳を含めた神経系だけです。

その力を再び発揮させる手助けをし、アドバイスをするのがセラピストの仕事です。

つまり、あなたがコントロールの主体であり、私は単なるカタリスト(触媒)に過ぎません。

ここでのまとめ:
「痛みはあなた自身の神経系にしか治せない。セラピストは変化するきっかけを与えるだけ。」

筋肉のコリは
出力の問題。

そもそも筋肉は、出力信号によって収縮するか、収縮しないことで弛緩することしかできません。

例えば神経が炎症していて、そこで起こる侵害受容入力信号が脊髄に入り、痛みから防御/逃げるために、筋肉へ出力信号を送って収縮させます。

つまり、筋肉の硬さは痛みの原因ではなく、その結果起こった防御反応ということです。

ですので、元々の侵害受容入力信号を無くせば、筋肉の硬さは自然となくなります。

それには、①神経の炎症を減らすこと。②脳からの鎮痛効果のある神経伝達物質の放出を促すことです。

硬い筋肉が原因だと錯覚して、強くマッサージすると、より筋肉が硬くなる理由はここにあります。

ここでのまとめ:
「神経の循環を促して、脳からの神経伝達物質を促せば自然と筋肉の硬さはなくなる」

一つ付け加えると、筋肉はセラピストが緩ませるものではなく、クライアント様の神経系の変化によって自然と緩むものです。

DNIC/痛みで痛みを消す。

マッサージ

徒手療法の世界では、痛みを与えるアプローチが主流です。それは先ほどお話ししたように、硬い筋肉が痛みの原因だという数十年も前の理論を徒手モデルの根拠にしているからです。

強いマッサージでは、その痛み刺激によって、脳からのベータエンドルフィンなどの神経伝達物質が出ます。その物質には鎮痛効果や依存効果、つまり「痛気持ちいい」という反応が起こりやすく、ビジネスモデルとしては成り立ってしまうのが問題だと考えています。もちろん強いストレッチや、太い鍼でも同じことです。

こういった働きのことを「DNIC」と言います。

バイオ(身体)や末梢神経的にはより炎症が増えて、微細な損傷が増えて、体を守るために筋肉は余計に硬くなってしまい、慢性痛になってしまいやすいのです。

つまり、脳は喜ぶけど身体はボロボロになってしまうのです。

ここでのまとめ:
「痛みで痛みを一時的に抑制しても、身体の負担は逆に増えてしまう。」

神経の循環を促す。

末梢神経

バイオ/身体の問題で見逃されているのは末梢神経と皮神経の炎症や浮腫です。

全身の72kmにも渡って伸びていて、脳に繋がっています。その神経には血管があり、酸素やエネルギーを送ったり、不要になった物質や炎症物質を排出する役割があります。

その神経の栄養供給や老廃物や炎症物質の排出を、ハンズオンで行います。

慢性痛な神経の炎症は、画像診断や電気検査では見逃される確率が高いと言われています。その敏感になった神経へ強い刺激を与えると、余計に神経が浮腫んで、流れが滞ってしまいます。

優しく、神経の流れを促す必要があるのです。

また、触れることで、あなたの脳からの神経伝達物質を放出する効果もあります。これは沢山の研究から導き出された答えでもあります。

ここでのまとめ:
「神経には血流があり、それを優しく促し、脳からの神経伝達物質も促すのがハンズオンの役割」

まとめ

まとめてみましょう。

痛みとは、個人的で主観的な体験であり、身体だけの問題ではなく、心理的社会的影響が複雑に絡み合った現象ということです。痛みは主観なので客観的なデータとして測定することは無理なのです。

だからこと徒手療法においては、クライアント様の感覚を聞き、それを頼りに進めていく必要があります。

また、強い刺激を与えると、鎮痛物質により一時的に痛みが減り、筋緊張が緩んだかのように感じられますが、それはDNICという機序。脳は喜んでも、身体はボロボロになり、逆に炎症や筋緊張は増えて、慢性痛になってしまいます。

では、ペインサイエンスから見て、どうしたら良いのでしょうか?

・痛い刺激を与えない。

・クライアント様の感覚を聞いてそれを道標に進めていく。

・優しく神経内の循環を促していく。

・優しい刺激で神経伝達物質の放出を促す。

・セルフケアや日常生活を見直すことで、神経のケアを普段から行う必要がある。

・ペインサイエンスの情報を学ぶ。

・家庭や職場などの心理的ストレスも考慮する。

これらのことが、徒手療法の効果を最大限に活かすことなのです。

つまりそれがカナダ生まれの「DNM」の特徴でもあります。

DNMについて

<DNM>

Dermo Neuro Modulating

Dermo=皮膚

Neuro=神経

Modulating=変化

DNM詳細

デルモニューロモジュレーティング=DNMは、筋肉や関節ではなく、全身にある皮神経や末梢神経にアプローチする新しいハンズオンセラピー/徒手です。

痛みは神経系により生み出されている複雑な現象であるという、最新のペインサイエンスに基づいた理論に基づいています。

クライアント様と対話的&相互作用的に進めていくという、今までにない方法です。

また、痛みを一切与えない優しい方法というのも特徴です。

DNM

開発者は、カナダに住む女性の理学療法士「ダイアン・ジェイコブス先生」です。

世界中の勉強熱心なプロのセラピストから「21世紀の徒手療法」と言われています。

今では全世界21カ国以上に広がり、「次世代の最先端の徒手療法」とセラピストから絶賛されております。

大倉山のDNM LABは、アジアで初めて認定された、DNM国際認定指導者によるケアが受けられる日本で唯一のサロンです。

Diane先生による
DNMの説明。

What is the
Dermo Neuro Modulating?

ダイアン・ジェイコブス

DNM/デルモニューロモジュレーティングとは、Dermo=皮膚、Neuro=神経、Modulating=変化、という意味です。

 

皮膚の神経/皮神経や末梢神経を変化させる、疼痛科学と神経科学をベースにしたアプローチです。

 

末梢神経や皮神経の絞扼(締めつけ)が、押すと痛みを感じる圧痛点の原因であると考えています。

なぜなら、末梢神経には血管が並走しており、その血流が絞扼や圧迫や伸長などにより血流が滞り、神経内の侵害受容性線維を刺激することで起こるからです。

 

実際には皮膚の神経であれば皮神経と血管が変化するようにスキンストレッチ=皮膚の伸展を行います。

筋肉の中などを通る深い神経は、関節を曲げることで神経自体を短く太くして血流を促します。

 

結果的に圧痛点はなくなり、疼痛もなくなり、可動域も増えます。神経系が警戒しないようテクニックは優しく、ゆっくり、軽く行います。

また、筋肉の持続的な収縮状態は、侵害刺激による脊髄反射が原因であって筋肉が原因ではないと考えています。

 

他の徒手療法ではあまり重視していなかった神経系を大切にすることで、いままでの徒手アプローチと合わせ、活かす事ができると考えています。

 

そしてデルモニューロモジュレーティングの理論は、よくあるアプローチの一つではなく、全てのアプローチを神経系から説明する「説明モデル」です。

DNMアプローチについて

DNMスキンストレッチ

Dycemという特殊なゴムフィルムを使い、皮膚をストレッチします。持続的にその状態を保つことで、皮神経の血流が改善され、奥の末梢神経まで影響を及ぼします。DNMのメインテクニックの一つであり、脳への影響をも与える非常に効果的なテクニックです。

DNMポジショナル・リラクゼーション

深い神経が、短く太くなり血流が増えるポジションに腕や脚をもっていき、しばらくキープする方法です。深い末梢神経の血流を促し、神経コンテナを広げて神経の循環を優しく促していきます。

推薦のお言葉。

文京学院大学 教授/学長
医学博士・理学療法士
福井勉先生

福井勉先生

2018年の春から秋にかけてCanada、Western大学で在外研究の機会を得た。おりしもその間の5月にManitoba州Winnipegで開催されたDiane Jacobs氏本人のDermoNeuroModulating(以下DNM)のワークショップに参加した。

彼女はとてもフレンドリーで意見交換にも長時間笑顔で応じてくれた。また理学療法士としての長年の経験から有効な方法の模索をしてきたことが様々な場面で伺えた。

今まで全く異なる方法で皮膚に対する治療を考えてきた自分にとっては、共通する考えが多いことにも驚かされると同時に、small worldとばかり思ってきた世の中の不思議な巡りあわせを感じた。

DNMは思っていた通り非常にソフトな治療技術であり、疼痛は全く伴わない。またゆったりとした環境下で行われることで、皮膚の有する様々な機能を引き出す力があると感じた。

近年疼痛は、慢性疼痛が与える社会的影響もあって注目されており、定義も変化してきている。侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心理社会性疼痛などに分類されることが多いが、そのほとんどに神経が関わっている。

特に器質的障害としては扱えなくなっており、その疼痛自体のとらえ方自体の変革期なのかもしれない。

その点でもDNMは神経への着目について、とても独創的であり疼痛治療に対する大きな先見性を感じた。DNMは疼痛に対して痛みを伴わない優しい治療を提供しており心地よさを感じるが、その治療は強力な武器になると考えられる。

皮膚は脳と同じ外胚葉由来であることから近年では新たな自己判断能も数多く発見されている。恐らくこの方法はこれからまだ発展していくことが予想されるが、世界の多くの治療者にも影響を与えるものと予想される。

文京学院大学 福井勉

整形外科医認定マッサージセラピスト
TEACHES DNM認定資格者
ジェイソン・エリクソン

ジェイソン・エリクソン

I am happy to see dnm Japan is providing information about DermoNeuroModulating (DNM) for manual therapists.

I will recommend it to everyone fluent in Japanese that want quality information about DNM!

 

Jason Erickson

 

DNM Japanが、DermoNeuroModulating (DNM)についての情報を、徒手療法家向けに提供していることを嬉しく思います。DNMに関する質の高い情報を求めている日本の皆さんにお勧めします。

 

ジェイソン・エリクソン

http://healthartes.com/

ふれあい横浜ホスピタル
整形外科部長 
整形外科医
青田洋一先生

青田洋一先生

~殿皮神経への手術で有名な先生~
TV名医とつながる!
たけしの家庭の医学などに出演

上殿皮神経、中殿皮神経障害に対しての新しい試みでしょうから、発展する可能性を感じます。

青田洋一

コラム集

ペインサイエンス理論に基づくコラム集はこちらをご覧ください。


 

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