◉ペインサイエンスからみた8つの整体NGワード特集!
本日は、最新のペインサイエンス/疼痛科学から見た、整体や徒手療法におけるNGワードについて、OK?NG?をお話していきます。
①「筋肉をほぐす」OK?それともNG?
筋肉は脳や脊髄からの出力信号によって縮みます。
つまり、筋肉は自分自身で縮まることができません。
そして、脳や脊髄からの出力信号がなければ、自然と緩まるのです。
強いマッサージという刺激で、筋肉の収縮したコリが緩む時も同じです。
マッサージ自体で緩むのではなく、その刺激による影響によって、脳と脊髄からの出力信号が止まるので結果的に筋肉が緩まります。
つまり、
×強いマッサージで筋肉をほぐす。
のではなく、
○ 強いマッサージの刺激により、脳や脊髄からの信号が止まる。
→筋肉が結果的に緩まる
のです。
まとめとしまして、正しく言えば、「筋肉は神経系によってほぐれる(緩まる)」のです。
答えはNGです。
②「骨盤の歪み」OK?それともNG?
骨盤の歪みという言葉をよく聞きますが、骨盤の骨自体は事故など大怪我でしか歪みません。
また、骨盤には仙腸関節というものがありますが、ここも靭帯が沢山あり、そう簡単に緩むものではありません。
つまり、骨盤の歪みが痛みの原因で、それを徒手で矯正します。というのは間違いとなります
答えはNGです。
③「筋膜をはがす/リリース」OK?それともNG?
筋膜は色々な部位にある結合組織です。
靭帯などと同じような組織なので、そもそも剥がす必要性はありません。
そして、徒手など人の手で、外から筋膜をリリースすることもできませんし、万が一、強い力で行えたとしても損傷ですので、痛みや炎症が起こります。
答えはNGです。
④「背骨のズレ」OK?それともNG?
カイロでよくいう背骨のズレですが、そもそも科学的根拠がない言葉です。
もし本当に背骨がズレていたら大怪我であって病院にすぐに行くべきです。
背骨が歪んで見えても、筋肉の長さやがそもそも左右対称とは限りませんし、関節や骨格も同じことです。
日頃の姿勢の偏りで、筋肉の収縮パターンが偏り、背骨が歪んで見えるだけであって、それは日常生活や身体の使い方が問題です。
ほとんどの場合、背骨の歪みは原因ではなく結果です。
また、通常レベルの背骨のズレによって、内臓器官に影響が出るということも、科学的根拠がないと言われています。
答えはNGです。
⑤「矯正」OK?それともNG?
主に矯正という言葉は、骨格や関節の「歪み」というNGワードと対になって使われます。
骨盤の歪みを矯正するだったり、頚椎のズレをスラストして直すだったりよく使われますが、これらも科学的根拠のない言葉です。
また瞬間的に大きな力を加えることは非常に危険なことです。
頚椎へのスラストは国からも危険視されています。
頭蓋骨矯正、小顔矯正、骨盤矯正などは起こっていません。
強い刺激により脳からの鎮痛物質が放出されて一時的に痛みが減って動きやすくなったように感じるだけです。
答えはNGです。
⑥「自律神経調整」OK?それともNG?
自律神経を整えるだったり、自律神経を調節するという言葉もよく聞きます。
自律神経は出力と入力があります。
例えば内臓であれば、内臓からの入力信号や内臓への出力信号です。
つまり、自律神経は色々な状況や情報に応じて、脳の影響を受けながら反応する神経系ということです。
それは、脳の認識や予測や記憶の影響を強く受けます。
例えば危機的状況の場合、目からの視覚や耳からの聴覚などの入力により、大脳皮質などの脳が反応して、自律神経の出力を変えるわけです。
呼吸や脈を早くして、血流を筋肉に送り、消化を止めるわけです。
つまり、自律神経自体、脳の認知の影響によって無意識的自律的に働く神経系なのです。
なので、自律神経調整というワード自体意味不明な言葉です。
答えはNGです。
⑦「ゴッドハンド」OK?それともNG?
ゴッドハンドの治療家の先生の手にかかればどんな痛みも消えるとイメージしますよね。
しかし、ペインサイエンスを知ればなんて事のない話です。
国際疼痛学会でも言っていますが、痛みは個人的主観的体験であり、身体の問題、心の問題、社会的関係性の問題が複雑に絡み合った現象です。
なので、整体や徒手で痛みがなくなったとしても、ほとんどクライアント様の神経系の変化によるもの。
セラピストがすごいから治った訳ではありません。
痛みを治せるのはクライアント様ご本人の神経系だけ。
セラピストはその変化のきっかけを与えるに過ぎないのです。
答えはNGです。
⑧「セラピストが痛みを治す」OK?それともNG?
よって、痛みの治療というのは怪我や術後ならまだしも、慢性痛ならばセラピストが治療しているわけではないのです。
DNM創始者のダイアンが言うように、あくまでセラピストはカタリスト。
触媒/変化のきっかけを与えるだけで、良くなっているのはクライアント様の力なのです。
ここを履き違えると、セラピストが治しているという間違った自負心に繋がってしまいます。
◉まとめ
以上、8つのNGワードですがいかがでしたでしょうか?
ペインサイエンスに基づくと、常識は非常識だったということが分かるでしょう。