◉筋肉は神経系の操り人形に過ぎない。コリの原因は神経系?
今日は、筋肉は神経系の操り人形であり、コリは痛みの原因ではなく結果である。ということについてお話しします。
◉筋肉は自分で収縮できない。
「筋肉が硬いですね」
「コリが鉄板ようですね」
と、セラピストから言われたことはありますか?
このコリや硬さはどうして起こっているのでしょうか?
そもそも筋肉は、自分自身で収縮して硬くなることはできないのです。
「縮めて信号」を何かが送らなければ縮まらない仕組みなんです。
◉筋肉は脳/脊髄からの出力信号によって収縮する。
その信号を出しているのは、脳と脊髄です。
それらのことを中枢神経と言います。
つまり、中枢神経が筋肉に「縮めて信号」を送って初めて、筋肉は収縮して硬くなるのです。
でもコリや、マッサージ屋さんで言われる筋肉の硬さって、一時的ではなく、ずっと続いていますよね?
それはなぜでしょうか?
◉ずっと続く筋肉のコリは、脳ではなく脊髄による出力信号。
緊張している時に無意識的に肩に力が入っていても、気がつけば、ふっと力を抜けますよね?
これは脳からの出力信号によって、一時的に筋肉が収縮していたからです。
つまり普段、意識的であれ無意識的であれ、脳からの信号であれば、それを止めることで、筋肉が自然と緩まるわけです。
◉"筋肉を緩める"のではなく、筋肉は緩まる。
つまり、
"筋肉をほぐして緩めましょう!"
ではなく、筋肉への出力が止まることで、
自然と"筋肉が緩まる"
のです。この違いを理解することがとても重要です。
つまり、セラピストがマッサージして直接的に筋肉が緩まるのではなく、クライアント様ご自身の出力がなくなったから、結果的に筋肉が緩まったのです。
◉ずっと続く筋肉のコリは脊髄からの出力信号。
話を戻します。
脳からの出力信号であれば基本的には止めることができます。
しかし、脊髄も縮めて信号を送ります。
それは警戒しなければいけないときや、痛み刺激(侵害受容信号)が加わった時などです。
例えば、熱いものに触れた時など、無意識的に手を引っ込めますよね?これが脊髄による出力信号です。
これは警戒すべき危険な刺激(侵害受容)が一時的にであれば、すぐに筋の緊張はなくなります。
しかし、その侵害受容信号がずっと続いている場合は、脊髄はずっと出力信号を出しつつけてしまい、筋肉はずっと収縮するのです。
これがコリの原因なのです。
そして、どこかが炎症している場合も侵害受容信号を受けて脊髄は出力信号を送り続けます。
※カイロで言う背骨のズレというのは科学的根拠のない話です。それとは別の話しということにご留意ください。
◉慢性痛で筋肉がずっと炎症は考えにくい現象。
例えば運動した後の筋肉痛があります。しかし大体の方は3日くらいで軽くなっていきます。
これは、軽い損傷であればそのくらいの期間で、修復されたり炎症が収まるから軽くなるのです。
しかし、肩こりや腰痛など慢性痛の方で、日常そこまで激しく運動していない方がほとんどです。
つまり、筋肉が損傷したり炎症したりしている可能性が低いということなのです。もちろん筋膜も同じことです。
◉末梢神経を守るために筋肉を硬くしている。
そこで末梢神経のお話です。
末梢神経には血流があります。そして要らなくなった物質や炎症した時の物質が溜まると浮腫んでしまいます。
そこを押せば痛みを感じますし、その神経をストレッチなどで伸ばせば痛みを感じて、それ以上動かしたくなくなります。
さらに、そういった動きや外部からの刺激から神経を守るために、脊髄は筋肉への出力信号を送り続け、筋肉は硬くなり、コリが生じます。
つまり、神経を守るために筋肉硬くなるのです。
ちなみに、末梢神経の軽い炎症は、病院ではほぼ調べることはできません。なぜなら画像に写りにくいからです。皮神経など細い神経の場合はさらにわかりません。もちろんエコーでもほとんどわかりませんので、見逃されているのが現状です。
◉筋肉のコリは痛みの原因ではなく結果。
筋肉のコリや硬さは、痛みの原因ではありません。
神経が炎症して、侵害受容信号が入力され、脊髄が反応して筋肉へ出力信号を送り、筋肉が硬くなるのです。
つまり、コリは原因ではなく結果です。
◉筋肉の硬さは敵ではなく味方。
ということは本来、筋肉の硬さやコリは神経を守るために必要な現象であり、目の敵のように筋肉を揉みほぐす必要はないのです。
本来コリは、敵ではなく味方なのです。
大切なのは、そもそもの侵害受容信号を止めることなのです。
つまり、神経の炎症や浮腫を減らすことが大切なのです。
◉優しい施術でも自然と筋肉のコリはなくなる。
神経に対して強く押したりマッサージすれば、炎症は増えてしまいます。
優しくその流れを促してあげる必要があります。
そうすれば、神経からの入力がなくなるので、脊髄からの出力もなくなり、結果的に筋肉のコリや硬さもなくなるのです。
ですので、筋肉のコリは神経系全体で考えて、長期的目線でアプローチしていかなければいけません。
優しくても筋肉は緩みます。